まず、事件や事故、自然災害が発生した際、ユーチューブ検索の最上位に、信頼性の高い報道メディアが提供する関連記事を表示する機能が追加される。報道メディアは一般に、速報をテキスト記事で公開した後に速報動画を制作・公開しているのだが、そのタイムラグを逆手に取って、フェイクニュースや扇情的な動画が投稿されることも多い。そこでまずは動画ではなく、信頼できる記事へのアクセスを促すということなのだろう。この機能は現在米国でのみ提供される。

 ユーチューブのトップページには、「トップニュース」セクションや、事件・事故の発生時には「速報」セクションが設置され、信頼性の高い報道動画へのアクセスを促していくという。こちらは日本を含め17カ国で開始される。

 陰謀論が絶えない歴史的、科学的なトピックを扱う動画には、ウィキペディアやブリタニカ百科事典のサマリーやリンクが掲載される。ユーチューブは以前、「月面着陸」と検索すると「月面着陸は捏造(ねつぞう)だ」とする動画が最上位に表示されていたとして批判をされたが、その問題を受けての対策といえる。

 さらに報道メディアのユーチューブ活用を促進する取り組みも強化される。報道メディアが必要とする機能開発に向けた連携、動画制作部門設立の支援、ユーチューブ活用の支援体制強化を進めていくそうだ。

 現時点では場当たり的な対応にも見える今回の取り組みだが、プラットフォーム事業者が向かうべき方向としては間違っていない。報道メディアとプラットフォーム事業者──「紙」と「ウェブ」の共存共栄に向けた第一歩として、今後のさらなる発展に期待したい。

週刊朝日  2018年8月3日号

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