ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。グーグルが今年発表した、3億ドルを投入する取り組みについて解説する。
【写真】グーグル・ニュース・イニシアチブ(GNI)を紹介するホームページの画面
* * *
多くの報道メディアがインターネット時代のビジネスモデルを確立できず、窮地に立たされている。その一方で、成長を遂げたインターネットのプラットフォームは、フェイクニュースや扇情的なものなど、低品質な情報の蔓延(まんえん)に頭を悩ませている。まさに今、高い品質の報道とインターネットを融合させる方法論が必要とされているのだ。
グーグルは今年3月、「グーグル・ニュース・イニシアチブ(GNI)」を発足し、「デジタル時代のジャーナリズムの未来を切り開く」ためだとして、報道業界とのコラボレーション推進を鮮明にした。
3年間で3億ドル(約340億円)もの予算が投じられるGNIは、質の高いジャーナリズムの強化、持続的成長を可能にするビジネスモデルの構築、報道機関によるテクノロジー利用の促進という三つの目標を掲げている。報道メディアが持続可能な収益を確保し、ジャーナリズムに専念できるよう支援することで、インターネットの情報環境を改善することが狙いだ。
そのGNIが7月9日、「信頼性の高いニュース動画」の提供に向けて、2500万ドル(約28億円)の予算を投じる複数の取り組みを発表した。その多くは、ユーチューブに関連したものだ。