“人が好き”というのは俳優にとって一番の才能かもしれない。真矢さんに俳優の醍醐味を訊くと、「いろんな人のいろんな人生を紹介できること」という答えが返ってきた。

「自分の才能をアピールできる俳優と違い、ほとんどの職業が、自分の才能をオープンにアピールすることはできません。でも、その人の人生をショーにしたとき、確実にその人なりの歌があって踊りがあるのです」

 年齢を重ねるとともに、思いやりがあって、深みのある台詞が増えてきた。明るく前向きな真矢さんだが、現場は楽しいことばかりではない。

「基本、『私はラッキー』と思っているおめでたいタイプですが、友人からは、『私があなたの人生だったら泣くわ』って言われたこともあります(笑)。ただ、いいものができるときは、現場が苦しいことが多い。苦労を苦労として受け止めない性格は、俳優に合っていたのかな」

 実は落ち込むことも多い。そういうときは、とことんまで落ちてから、復活する。まるで初めてニューヨークに渡ったときのように。そのV字回復の原点となった舞台「コーラスライン」で、彼女はこの夏、応援と宣伝を担当するオフィシャルサポーターを務める。(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2018年7月27日号

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