東京五輪会場の建設現場(c)朝日新聞社
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公示地価で大阪のトップになった「ミナミ」地区(c)朝日新聞社
公示地価で大阪のトップになった「ミナミ」地区(c)朝日新聞社

 東京都心を中心に値上がりを続けてきた地価。「2020年夏のオリンピックまではもつのでは」とする見方が多い中、「19年1月から下落が始まる」とする新説が現れた。そこから売り物が急増するというのだ。本当なのか? 根拠は? 新説を追い、最新の不動産事情を探った。

【写真】公示地価で大阪のトップになった「ミナミ」地区

「知り合いには、少なくともあと3~4年は手を出さないほうがいいと言っています」

 こう話すのは、青山学院大学の榊原正幸教授だ。企業の決算数字をもとに、株価が値上がりしそうな銘柄を探せる独自の手法を開発、日本の大学教授でただ一人、株式に関する投資顧問業を営む異色の人である。

 と言っても、ここで彼がアドバイスするのは株式についてではない。

「不動産です。地価が来年の年初、2019年1月から下落を始めると予想しています」

 日本銀行の異次元金融緩和などで、地価は13年ごろから着実に上昇してきた。とりわけ東京都心は値上がりが激しく、一部で「バブル」と指摘する声があるが、とうとうそれに終止符が打たれると言うのである。

 それにしても、時期が極めて具体的である。いったい、なぜ「19年1月」なのか。

 榊原教授によると、根拠は二つ。一つは「税制」の仕組みゆえ、という。

「13年9月に、20年に東京でオリンピックが開かれることが決まりました。当時すでに不動産は値上がりし始めていましたが、五輪需要の盛り上がりを見込んで、それに拍車がかかった。目ざとい個人投資家や富裕層は、当然、そこで物件を仕込みます。そうやって13年中に購入した投資用不動産が、実は19年1月から売却しやすくなるのです」

 不動産の譲渡益(利益)にかかる所得税・住民税は、不動産の保有期間によって税率が異なる。「5年」を基準として、それ以内なら「短期」となって譲渡益の「約4割」が税金でもっていかれるが、5年を超すと「長期」になり税率が半分の「約2割」に下がる(「10年超」でも税率が違うが、省略)。5年は「丸5年」でないところがややこしい。譲渡(売却)した年の1月1日現在で5年を過ぎていて初めて長期になる。したがって、13年中に買った物件の税率が下がるのは「19年1月から」になるのだ。

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