エレファントカシマシの23枚目のオリジナル・アルバム『Wake Up』が話題だ。あがき、もがきながら、やり場のない焦燥感をぶちまけてきたエレカシが、原点回帰を図るとともに、新たなスタートを示した意欲作だ。
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デビュー30周年を迎えた昨年には全国ツアーのほか、夏フェスなどにも出演し、2枚の記念シングルを発表した。NHKの紅白歌合戦にも出て、お茶の間に存在を知らしめた。
記念イヤーを経て発表された今回のアルバム。なんと言っても、冒頭を飾る2曲が強力だ。
幕開けの「Wake Up」は、ドラムが重量感のある四つ打ちのビートを刻み続けるダンサブルなディスコ・ロック。鋭角的なリフを刻み続けるギターも鮮烈だ。ザ・ローリング・ストーンズの「アンダーカヴァー・オブ・ザ・ナイト」に触発されたそうだが、“ゆこう go go go Wake Up”と繰り返されるイケイケの前傾姿勢が心地いい。“オレはただ今覚醒したぜ 輝く青空の下で”と、宮本浩次ひとりによるコール&レスポンスも痛快だ。
2曲目はテレビドラマの主題歌にもなった「Easy Go」。ワン・ツー・スリー・フォー!のカウントで勇ましくスタートする。耳をつんざくギター、ドタバタ感満載のドラムス、強靭なベースが激しいビートを刻み続けるハード・コアなパンク・スタイルだ。エンディングでの荒ぶりよう、ワイルドなシャウトは半端ない。勢い任せでなく、きっちりと主張をアピールしている。
実は「Easy Go」には複数のデモ・ヴァージョンがある。原型は、ベースの弾き語り&打ち込みドラムの「Easy Go 0」。歌詞は未完成で、思いついた言葉を巻き舌でまくしたてるような歌いぶり。順を追って「Easy Go 初期型(コードA)」、キーを改めた「Easy Go ほぼ最終系(コードG)」。これら3ヴァージョンは、今回の初回限定盤(ミュージック・ヴィデオ収録のDVDと、デモ音源6曲入りのCD付き)で聴くことができる。曲作りのプロセスを知ることができて面白い。