原発専業の日本原子力発電への出資や債務保証禁止を求める提案も、多くの会社に出た。日本原電は原発しかない会社なのに、一つも再稼働していない。ほかの電力会社の資金的な支えで経営が支えられている。

 茨城県にある東海第二原発が再稼働すれば、原電を支える東電や東北電力に電気が供給される。このため、両社は「電源調達先の一つとして、東海第二は有望」(東電)、「再稼働に伴う受電再開で、火力発電所の燃料費が抑制される」(東北電)などと、原電支援に株主の理解を求める。

 再生可能エネルギーを巡る各社の認識は近年、大きく変化。国が5月に示した新たなエネルギー基本計画案でも、「主力電源化」をめざすと位置づけられた。

 四国電力は原発事故直後の2012年の総会で、再エネ拡大を求める提案に対し、積極的に取り組んでいると説明しつつ、取締役会の意見をこう訴えていた。

「発電が気象条件によって左右され、出力変動が大きいことに加え、既存の電源に比べて高コストであるなどの課題があることから、現状では、原子力に変わる電源として位置づけることは難しい」

 今年の総会では、同様な提案に対する意見としてこうした点に触れていない。「今後も、引き続き、費用の増大をできるだけ抑えつつ、こうした(再エネ拡大の)取り組みを進めていきたい」と説明している。

 九州電力の管内は、9社のなかでも特に再エネが伸びた。一層の拡大を求める株主提案に対し、「2030年における国内外の発電設備容量400万kWを目標に掲げ、九電グループ一体となって積極的に開発」と数値目標も説明し、株主の理解を求めている。 (本誌・中川透)

※週刊朝日オンライン限定記事

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