一方、バプチェンコ氏は「生き延びること、家族の安全が最優先だった」と反論している。

 バプチェンコ氏以上に批判を浴びているのがウクライナ当局だ。「国境なき記者団」のクリストフ・ドゥロワール事務局長は「ひどい茶番」と一刀両断。「情報戦争を拡大するウクライナ情報機関の情報操作に激しい憤りを覚える。政府が事実をもてあそび、ウソを広めるためにジャーナリストを利用することは極めて危険」と危機感をあらわにした。

 英BBCのフランク・ガードナー安全保障論説委員は、「この作戦はロシアを利するだけ」と指摘する。ロシア政府は英国で今年3月に起こった元ロシアスパイの暗殺未遂事件への関与を疑う報道を、「フェイク」だと一蹴してきた。自国に不利な追及や報道すべてを敵対国家による「フェイク」だと言い張る口実に、今回の件が利用される懸念を示した。

 暗殺計画を事前に把握しておきながら、なぜ摘発できなかったのかなど不明な点も多い。ロシアとウクライナ間の「情報戦争」の一局面であり、今後事態が二転三転する可能性もある。

週刊朝日 2018年6月22日号

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