内館:逆なんです。それがすごくよかったんです。チラッとカッコよさが出ることで、現在はダサいオヤジだけど、きっと若い頃は仕事で世界の誰にもひけを取らず向かいあったり、女を泣かせたりしたんだろうなというのがリアルに感じられる。それは、最初からしょぼいタイプではできなかったことで、舘さんにやっていただけて、本当によかった。
舘:「終わった人」というタイトルの強烈さに、はじめは驚いたんです。お受けするべきかどうか、最初は迷いました。
内館:ネガティブなタイトルだし、内容も原作はシリアスですからね。私も最初はコメディーになるとは考えてもみなかったんですよ。
舘:原作にはシリアスな中にシニカルな笑いがあると感じていました。やっぱり悲劇と喜劇は、どこか近い存在なんですよね。
内館:しかも、「リング」や「仄暗い水の底から」の中田秀夫監督だと聞いて、また驚いたんです。
舘:ホラーになっちゃうんじゃないかって?(笑)
内館:そうそう(笑)。一体どんな作品になるんだろう……って。黒木さんが面白いことをおっしゃってました。「結婚生活は、ある意味ホラーだ」って(笑)。