ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、天気予報士の「斉田さん」を取り上げる。
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90年代以降、急激に増えた『お天気お姉さん』。常に同じ時間・同じ台詞・同じ景色の中に生きている彼女たちは、限りなく2次元に近い存在です。アニメ大国として君臨し、「守られるべきは鑑賞する側のファンタジー」という顧客至上主義の日本で、『お天気お姉さん』はまさに次元を超えた究極のアイドル像を体現していると言えるでしょう。だからこそ、年齢による賞味期限が如実にシビアで、2次元ワールドに浸かり過ぎた日本人に、生身の人間故の栄枯盛衰の儚さを想起させてくれます。
そんな戦々恐々とした女の空模様に比べ、男は幾分かのんびりしているように見受けられます。木原さんや森田さん森さんといったベテラン予報士たちの磐石さも然ることながら、「アマタツ!」や「蓬莱さん」といった若手の安定感たるや、まるで“とらばーゆ”に成功したエリートサラリーマンのようです。中でも私が最も気になるのが、NHK『ニュースウオッチ9』の斉田季実治さん。数年前から2丁目界隈での人気は絶大で、マツコさんやクリスさんも早くから『斉田ファン』を公言しているほど。御年42になる斉田さんですが、ここへ来て改めてそのアイドル・ポテンシャルの高さを見せつけてくれており、同学年として目が離せません。