「正直者が馬鹿をみる」と言いますが、まさにこれは人生の教育。私が行かなかったからといって、親も先生も誰も褒めてはくれません。それに、学校をたった1日休んだからといって、その後の支障があったとは考えられません。私は、自分の頭では何も考えずに、ただ「学校を休まないのは偉い」という世間一般の価値観に従い、「自分は遊びに行きたかったけど学校を休まなかった」という自己満足に浸っていただけでした。
思い出してください。あなたは、小学校、中学校、高校のときのテストの点数、期末テストの順位をまだ覚えているでしょうか? 当時は一喜一憂していても、おそらく今も答えられる人はまれだと思います。でも、テーマパークや旅行に行った日の経験は、覚えているんじゃないでしょうか? ぶっちゃけてしまえば、学校で習う勉強の内容は、授業に出なくても教科書に書いてあるし、後からいくらでも取り戻せるものです。置いていかれた側の私は、この経験から、「他人の目を気にしてやりたいことをせずに後悔しないよう、自分で考えて行動すべき」ということを学びました。
また、テーマパークは、休日に行くと、混雑して並ぶ時間がかなり長くなります。テーマパークという場所は時間や体験をお金で買っているような空間ですから、せっかく同じ値段を払って入るのに待機時間ばかりになったら、損だともいえます。平日に行ったほうが確実に得なのです。そういう行動を「ずるい」と受け取る人もいるかもしれませんが、私は「ずる賢い」考え方だと思っています。
学校は、こうした「ずる賢さ」をあまり教えてくれません。学校で褒められるのは、「ずる賢い」の反対、「バカ正直」なことばかりです。みんなではみ出さずに1列に並ぶ、板書された文字をひたすらノートに写す、ノートの内容を詰め込んで覚える、つまらなくて効率の悪い授業でも1時間座って静かに聞く……実際、義務教育には、戦争時に必要だった徴兵制の歴史があり、そのなごりが残っているのも確かです。「指導者に従い、みんなと同じ行動をする」スタンスです。