財務省は23日、「森友学園」への国有地売却を巡る問題で、学園側との交渉記録と改ざん前の決裁文書を国会に提出した。交渉記録を巡っては、国有地売却が国会で問題となった昨年2月以降、佐川宣寿前国税庁長官が、記録は「廃棄した」と繰り返し答弁し、その存在を認めていなかった。 財務省は同日、佐川氏の答弁とつじつまを合わせるために改ざんだけでなく、理財局の一部職員の指示で保管していた記録の廃棄を進めていた事実も明らかにし、「深くおわびします」(富山一成理財局次長)と陳謝した。
【やはり疑念が…「森友学園問題」改ざん前の決裁文書はこちら】
これで佐川氏の国会答弁がすべて「虚偽」であることが明白になった。
残されていた交渉記録は、1000ページ近くにも及んでおり、詳細なものだった。記録から森友学園の国有地取得問題もやはり、「首相案件」ではなかったかという疑念が浮上する。
例えば、2014年3月4日に近畿財務局が大阪府の私学・大学課の職員と森友学園の小学校設立について、会合した<状況確認>という記録がある。
森友学園の提示する計画が<説得力に欠ける>との懸念が示される一方で、大阪府側からの発言として<小学校名「安倍晋三記念小学校」として本当に進捗できているのか、取扱いに苦慮>という記述が残っている。
当初から近畿財務局や大阪府は、森友学園が安倍首相の名前を小学校名にすることを把握していたことが、うかがえる。
中でも注目すべき記録は以下だ。
2015年11月12日の財務省の<応接メモ>には、昭恵夫人付の谷査恵子氏が、財務省の国有財産審理室長(当時)、田村嘉啓文氏に電話で問い合わせをした記録が残っていた。
<【先方】谷さん (安倍総理夫人付)>とかかれており、田村氏が昭恵夫人の「代理」として谷氏が連絡してきたことを把握したうえで対応した様子がうかがえる。ゆえに冒頭には<(概要)安倍総理夫人が名誉顧問に就任した開校予定の小学校(国有地を学校法人森友学園に対して売り払い前提で貸付け中)から問い合わせがあったとのこと>
という前提も記されている。国有地が介護施設に対しては、定期借地で減額することが論議されているので学校施設は対象にならないのかと、谷氏が森友学園から照会を受け、田村氏に尋ねている様子が記載されている。<学校施設まで対象とするものでない>と田村氏が述べると、谷氏は謝意を述べつつ、森友学園が主張する地中のゴミ撤去や土壌汚染についての処理費用を、大阪航空局から<2015年度中に支払うことになっていたが、2016年まで払えないと言っているが、どうなっているのか>と森友学園の意向に沿ったクレームまで入れていたのだ。