15年3月の開業当時の北陸新幹線
15年3月の開業当時の北陸新幹線
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<グラフ1> JR各社の新幹線収入と在来線収入
<グラフ1> JR各社の新幹線収入と在来線収入
<グラフ2> JR各社の新幹線運輸収入の前年比
<グラフ2> JR各社の新幹線運輸収入の前年比

 JR各社の新幹線が絶好調だ。2018年3月期決算でみると、東日本、東海、西日本、九州の4社ともに新幹線の収入が前年よりアップ。在来線も含めた運輸収入全体に占める新幹線の比率も高まる。各社の好業績を牽引する源“新幹線力”を比べると……。

【JR各社の新幹線・在来線収入比較や運輸収入前年比のグラフはこちら】

「新幹線は東北、北陸、上越の3方面ともに、順調に伸びた。昨冬は、降雪時にも強い新幹線が力を発揮し、顧客を取り込めた」

 JR東日本の担当者は18年3月期の決算会見でそう述べた。運輸収入全体は前年比1.1%増の1兆8366億円。うち1兆2485億円が在来線、5881億円が新幹線だ。新幹線の占める比率は32.0%で、近年は着実に増えている。首都圏などの在来線も好調なため、運輸収入は6期連続で増え、過去最高を記録した。

 JR東海は、新幹線の運輸収入が前期比3.4%も伸びた。のぞみを1時間最大10本運行できるダイヤを生かし、1日の平均運行本数は過去最多の368本に。5年前と比べると約1割増えている。新幹線が運輸収入に占める比率は92.3%。14年3月期の時点でも91.7%と高かったが、さらに上昇。経営の屋台骨を支える役割が一層高まっている。

 JR西日本は昨年、新幹線車両の台車枠に亀裂が入る「重大インシデント」が見つかった。新幹線の安全運行が大きな経営課題となっているが、新幹線の運輸収入は前年比3.0%増と堅調に伸びた。年末年始の帰省客や外国人観光客などの効果だ。

 同社は15年3月の北陸新幹線開業を機に、新幹線収入が在来線を上回るようになった。19年3月期は北陸がほぼ前年並み、山陽は前年より増収を見込む。

 JR九州は、18年3月期の新幹線収入が前年比8%増の541億円に。前年は地震の影響で3%減っていたが、再びプラスに転じた。18年3月期も豪雨や台風などの災害に見舞われたものの、外国人観光客の需要取り込みなどもあり、新幹線の収入は熊本地震前を上回る水準を確保した。(本誌・中川透)

※週刊朝日オンライン限定記事