1994年に世界を唖然とさせたナンシー・ケリガン襲撃事件の裏側を描いた作品「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」。アカデミー賞ではロビーの主演女優賞、編集賞など3部門でノミネートされ、アリソン・ジャネイが助演女優賞を受賞した。
貧困層から脱出しようと娘にスケートを習わせ、身勝手な論理を振りかざし、言葉と暴力でねじ伏せようとするラヴォナ(アリソン・ジャネイ)。そんな母に罵倒されながら育ったトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)は、天性の才能と努力で1992年アルベールビル、94年リレハンメルと2度のオリンピック代表選手となった。
しかし、彼女の夫だったジェフ(セバスチャン・スタン)の友人がトーニャのライバルであるナンシー・ケリガンを襲撃したことで、彼女のスケート人生は一変。転落が始まる。一度は栄光を掴み、アメリカ中から称賛と大きな期待を寄せられたトーニャだったが、その後、彼女を待ち受けていたのは……。
■渡辺祥子(映画評論家)
なかなかGOOD!
娘を食い物にして骨までしゃぶりつくす母親の姿にア然。この母が諸悪の根源と思わせる仕立てのドラマは、こんな母に育てられたことでトーニャが強烈自己主張の娘になったことを描いて昔のハリウッド映画を見る気分。
■大場正明(映画評論家)
なかなかGOOD!
事件の当事者たちの証言が食い違う羅生門スタイルのドラマ。白人貧困層の厳しい現実とフィギュアの華やかな世界との激しいギャップ、俳優陣の熱演と怪演、シリアスとユーモアを往復するような演出が強烈な印象を残す。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
超オススメ、ぜひ観て
結局生まれ育った環境なんですね。このお母さん怖すぎます。ボディーガードも人間としてどう見たらいいのか疑問。ラストに本人たちの映像が出てきて、もっとゾッとしました。いろんな人がいるんだなぁ。役者が激似!
■わたなべりんたろう(映画ライター)
超オススメ、ぜひ観て
破格の面白さに加えて泣かされた。アメリカ論でもある映画だが、与えられた宿命の中でジタバタ生きる人間模様を新しい視点で描くという作り手の意図がわかると一気に視界が開かれた思いになる。レベルの高い映画だ。
※週刊朝日 2018年5月4-11日合併号