「デトックス」。体の中にたまった老廃物や有害物質などを排出することを示す言葉だ。食生活の改善など、さまざまな健康法の分野でこの言葉は使われているが、身近なのは汗をかくこと。スポーツやサウナなどでたくさん汗をかくと、体の中にたまった“毒”が流れ出るというわけだ。確かに汗をかくことで、何かすっきりした感覚を持つ人も多いだろう。
ところがそんな効果はありえないとの記事を「ナショナルジオグラフィック日本版」がネットで掲載した。海外の専門家が汗の毒素の量を分析した結果、<普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%に過ぎません>という。
医師(神経内科)で作家の米山公啓さんはデトックス効果についてこう話す。
「そもそも科学的根拠はないので、効果はありません。毒素は皮膚から出るものではなく、腎臓と肝臓で解毒されて尿として排出されます。汗の大部分は塩分と水分です」
汗に限らず特定の食品などをとれば毒素が排出されるというのは、科学的根拠に乏しいとの指摘もある。みんなが信じるほどの「デトックス効果」は期待できないようだ。