紹介状の一例。「御机下(ごきか)」など聞きなれない言葉も出てくる
紹介状の一例。「御机下(ごきか)」など聞きなれない言葉も出てくる
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 医師から別の医師へ、患者を託すときに添えられるのが「紹介状」だ。厳重に封がされているだけに、中身が気になるのが人情というもの。好評発売中の週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2018』では、医師にその中身と紹介状の秘密について尋ねてみた。

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 そもそも、紹介状とは何だろう。言葉のイメージから、「うちの患者さんをよろしくお願いします」というあいさつ程度の手紙のように思うが、実際は違う。

 正式名称は「診療情報提供書」。左の見本のように、患者の個人情報と治療経過の報告書なのである。画像診断写真などのCD-Rや、血液検査のデータなどが添えられることも多い。

 多くの場合、紹介先の病院の書式にならって紹介元の医師が作成するが、書式にルールはないようだ。これまで数多くのクリニックや中小病院から紹介状を受け取っている、心臓外科医で戸田中央総合病院心臓血管センター外科部長の横山泰孝医師はこう話す。

「原則として患者さんの名前・住所・電話番号、病名、主訴、経過、既往歴があればいいのですが、何枚にもわたる丁寧な紹介状もあれば、数行で簡潔にまとめられたものもあり、紹介してくださる先生の個性がでます」

 ところで、紹介状はなぜ必要なのか。目的のひとつは、病院を移ってもこれまでどおり治療が受けられるようにすることだ。初診時の診察時間が短縮され、同じ検査は受けずにすむ。

 また、紹介状を添えて患者を送る制度があることで、病院の役割が明確になる。クリニックや診療所は、地域の「かかりつけ医」として日常的な病気や軽いけがを治療する。詳しい検査や手術、入院は総合病院や大学病院などが担う。患者の症状を見極めつつ、紹介状を介して役割が違う病院が連携をとるのだ。

■大切な患者だからこそ紹介状に心をこめる

 そしてもう一つ、大切な意味がある。医師どうしの信頼関係の構築だ。横山医師に紹介状を書く機会も多いという、内科医で井上病院・井上クリニック理事長の早川貴美子医師は言う。「かかりつけ医と患者さんの間には、長く培われた信頼関係があります。月に一度受診する患者さんでも、年間12回も会う関係です。その大切な人を託すのですから、紹介状には気持ちがこもります。『繊細な方ですので、ご配慮をお願いします』などと書き添えることもあります」

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