体力づくりのために筋トレをおこなっている人も多いだろう。だが、筋肉を鍛えるより、関節を守る筋肉を鍛えるほうが、効果は高いという。医療従事者を中心とした読者に向けてメルマガを発行している、理学療法士の笹川大瑛さんの著書『関トレ 関節トレーニングで強い体をつくる』から、その内容を一部紹介する。
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筋トレは正しいフォームでおこなうことで効果が上がり、間違ったフォームはケガのもと、とよくいわれます。正しいフォームでおこなうことが大切なのは関トレも同じです。
では、関トレと筋トレはどう違うのでしょうか?
スクワットや腹筋など一般におこなわれている筋トレは、私は「動作のトレーニング」と言っています。スクワットは両足で地面を蹴るイメージの動作、腹筋は体幹を曲げる動作、背筋は体幹を反らせる動作、腕立て伏せは両腕で体を持ち上げる動作です。筋トレはこうした動作のトレーニングをしています。
ここでは体の外側にある強力を発揮する筋肉、よくいわれるアウターマッスルを鍛えます。スクワットや腹筋運動などの筋トレでは、関節を守る筋肉を鍛えることはできません。一方、関トレは関節を守る筋肉だけをピンポイントで鍛えることができます。
関トレで鍛える筋肉は、腸腰筋、多裂筋(腹横筋)のほか、内転筋、ハムストリングス、後脛骨筋、腓骨筋、前鋸筋、菱形筋、肩甲下筋、上腕三頭筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋です。関節を守る筋肉がしっかりと働けば、自然に大きな力を発揮させる筋肉、腹直筋、大殿筋、僧帽筋、大胸筋などが働きやすくなります。たとえば歩くのもおぼつかない高齢者が股関節の関トレをすると、お尻の筋肉がどんどんついてきて、足腰に力が入るようになりしっかり歩けるようになるのです。歩幅も広くなりますし、歩くスピードも速くなります。
■関トレをすれば筋トレは必要ない
筋トレで体をしっかり鍛えている筋肉ムキムキのボディビルダーは関節を守る力が強いのかというと、必ずしもそうではないのです。