安倍晋三首相(左)と麻生太郎財務相(c)朝日新聞社
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自民党党大会後、ぶら下がり取材に応じる小泉進次郎氏(撮影・横田一)
自民党党大会後、ぶら下がり取材に応じる小泉進次郎氏(撮影・横田一)

 何とか佐川喚問を乗り切った安倍政権だが、打開策がない状況が続く。佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問前にすでに30%を切りそうなほどに急落していた内閣支持率は、そう簡単に戻りそうもない。政府関係者がこう語る。

【囲み取材で“悩み”を吐露した小泉進次郎】

「25日の党大会で高らかに憲法改正を謳うはずだった総裁演説も、抑制された文案に差し替わった。改正自体がもう無理という声もある。佐川喚問も当初、もっと早く予定されていましたが、官邸が党大会後にしてほしいと党に泣きつき、27日になった。官邸は今井首相秘書官を中心にA、B、Cなど複数の政権運営案を徹夜で作っているが、展開を読むのが難しい状況だ。4月に内閣改造をやり、麻生さん(太郎・財務相)に責任を取ってもらって財務相を替え、急場をしのぐ案も浮上している」

 秋に総裁選を控える自民党内では票読みが本格化している。特に注目されるのは竹下亘総務会長をトップに据えた第3派閥の竹下派(旧額賀派・55人)の動向だ。石破茂氏を支持する動きを見せつつ、岸田文雄政調会長にも秋波を送っている。

「二階派は表向き、安倍3選を支持しているが、竹下派が石破氏、岸田氏のどちらかを担ぐと合流する可能性もある。二階(俊博)さんは旧田中派出身で同志だからね」(自民党議員)

 一方、安倍首相を擁する細田派関係者はこう話す。

「安倍さんは石破さんとの一騎打ちに勝ち、3選するつもり。総裁派閥の細田派(94人)と麻生派(59人)、岸田派(47人)で票を固めれば、勝てる」

 旧宏池会系の総裁候補とされる岸田文雄政調会長は“ハムレット状態”という。

「岸田さんは今、出られる状況じゃない。実は同門の麻生さんは弟分の岸田を嫌っている。昔、大宏池会を一緒に作ろうと持ちかけたが、煮え切らない岸田さんが期限までに返事せず、麻生さんは今も許していない。麻生さんとの関係がこのままでは岸田さんが出馬しても勝てないし、安倍さんを裏切ったら細田派も許さない。安倍内閣をいずれ岸田さんに禅譲してもいいと秋波を送っているので、将来のために安倍さんと組むしか道はない」(前出の細田派関係者)

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