一方、高血圧に直結する塩分のとりすぎは、血圧を測ることでチェックできる。

 また、末梢血管の血液が流れにくい場合も血圧は高くなる。最高血圧、最低血圧ともに基準値内におさめることが大切だ。

「数値に問題がなくても血液は粘つきやすいので、水分は必要です。年齢や活動状況に合わせて適量の水分をとるようにしてください」(同)

 肥満を解消するために、とにかく痩せようとする人がいるが、筋肉まで落ちたら逆効果だ。血流は心臓のポンプ作用で流れるが、末端から高い位置にある心臓へ血流を戻すのはパワーが必要で、脚を中心とした筋肉がバックアップしてスムーズに流してくれているからだ。

 運動は、肥満の解消だけでなく筋肉も増やす。また、血管は血管内皮細胞から血管拡張物質のNO(一酸化窒素)が十分に出ていると柔らかい状態を保つことができ、逆に不足すると硬くなる。運動でNOを出すことができるという。NOを出してくれるのは、時間をかけて行う有酸素運動だ。

「逆に、ぐっと力を入れるダンベルやエキスパンダーは、心臓に負担がかかります」(同)

 ウォーキングやスロージョギングなど少し汗ばむ程度の運動を1回30分以上、週3回が理想だが、軽い運動でも30分以上続けるのは意外に難しい。そこで河野医師が勧めているのが、掃除だ。きれいになるという結果がすぐについてくるので、続けやすい。

「ストレスも動脈硬化の危険因子ですから、楽しんでやる方法を見つけましょう。仕事もどんなに楽しい、やりがいがあると思っていても、仕事である以上ストレスがかかっているものです。1日当たりの労働時間が増えると、急性心筋梗塞の発症率が高まることがわかっています。自分の生活を見直してみてください」(同)

(ライター・谷わこ)

週刊朝日 2018年3月16日号より抜粋