0・2秒で1回転しているのなら、5回転で1秒かかることになる。

「それをもうちょっと1割くらい速く回転するようにすれば、0・8秒ちょっと空中にいれば5回転がまわれる」

 5回転が跳べるかどうかはスケート靴には関係なく、身体能力とセンスにかかっているという。実際に、バスケットボール選手のダンクシュートでは1秒弱は空中に浮いているとされる。

「それだけのジャンプ力があって、0・8秒から0・9くらいの滞空時間が出せれば、5回転で降りられる。そのためには、助走速度を速くして、助走の運動エネルギーを高さと回転のエネルギーに変換していくというのをテイクオフ(離陸)でやらなければいけない」

 誰も跳んだこともない新しいジャンプは未知だ。

「回転数を増やすというのはとても怖いものなのです。ほんとにほどよいところで開かないと、回転したまんま氷に叩きつけられる危険もある」

 将来的には5回転を跳ぶ選手は出るだろうと予測する。羽生が実現する日は来るのだろうか。(本誌 上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定

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