大阪取引所の大発会(c)朝日新聞社
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資産寿命を延ばす年代別か・け・ふ術(週刊朝日 3月9日号より)
資産寿命を延ばす年代別か・け・ふ術(週刊朝日 3月9日号より)

 人生100年時代と言われる。健康寿命を延ばすとともに、長く生計を保てるように“資産寿命”を延ばすことがより重要になる。お金を巡る課題は同年代で似通っていて、定年を意識し始める50歳前後から切実なテーマだ。年代別の資産寿命の延ばし方を紹介したい。

【図】資産寿命を延ばす年代別か・け・ふ術とは?

 資産寿命を延ばす方法は主に三つしかない。稼いで収入を増やす、支出を削る、貯蓄や投資で資金を殖やす。

 いずれも当たり前のことばかりだが、三つのバランスが大切になる。いくら稼いでもムダな支出が多いと、“メタボ”家計となってしまい、お金は貯まらない。

「か・け・ふ」という言葉がある。大手商社の伊藤忠商事の商いの三原則で、「稼ぐ」「削る」「防ぐ」の略。売り上げを増やし、コストを減らし、リスク管理を徹底して損失を防ぐ、という意味だ。この言葉は資産寿命を延ばす三原則にもなる。その際、「ふ」は、貯蓄や投資で殖やすと考えたい。

 50、60、70代のそれぞれの年代で三つをバランスよく意識すべきだが、特に大切な点を考えたい。

 50代は働き盛りで、稼ぎも多い。収入に応じ、支出が膨らみやすい。50代前半までは子どもの教育費などがかさむが、60歳が近づけば、子の独立などで支出を減らせる人が増えるはずだ。「け(削る)」を強く心がけたい。

 子が独立したのに、生命保険の保障内容は過大になっていないか。さらに、スマホ料金など一定額を長期間払い続ける費用も、見直し対象にできるだろう。ムダを減らせば、貯蓄や投資にお金をまわせる。

 60代は定年で職業人生に区切りがつく年代。ただ、平均寿命が延びた今、退職後もできるだけ働くほうが資産寿命を延ばす点でプラスになる。「か(稼ぐ)」が老後の安定につながる。

 と同時に大切なのが、退職金の生かし方。経団連などの調査によると、2016年の標準者退職金(大卒60歳モデル)は2374万円。12年調査では約2500万円だったので、減少傾向にある。老後の備えの元手が減る一方で、寿命は延びた。退職金運用はかつてより重みを増している。生活費として必要な「守るお金」と、投資にまわせる「増やすお金」を計算し、運用を考えたい。

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