一連の羽生フィーバーについて、スポーツ科学を専門とする早稲田大学の松岡宏高教授は「スポーツが“舞台化”している現象」と分析する。松岡教授いわく、スポーツ観戦は、自分ができないことを「選手が代わりに達成してくれる」という”代理達成”の心理が強く働く。加えてフィギュアの場合、演技後のプレゼント投げ込みやお手製の応援バナー設置のように、ファンが関わる場面がある。
「スポーツの中では珍しく、ファン側の“出番”が用意されている種目。舞台の”おひねり”文化と近い面もある。こうした要素に、羽生選手は才能とアイドル性、ストーリーが合わさり、独特の現象として表面化しているのでは」
羽生は以前から、平昌五輪後の引退をちらつかせる発言をしていただけに、進退が気になるところ。
「ユヅの雄姿を、見続けられますように」──。
切なる願いを叫ぶ声が聞こえてきそうだ。
(本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2018年3月2日号