新フォームを体得後、得意種目の500メートルは24連勝中。昨年12月、ソルトレークシティーで開催されたW杯の1000メートルでは世界記録を樹立した。
30代での躍進を、前出の折山さんはこう見る。
「選手寿命が延びているということもありますが、小平さんは高校卒業後、信州大学に進学して授業も受けながらじっくりスケートに取り組んできました。高卒から実業団に行ってスケート漬けの生活を送ってきたわけではない。身体的に酷使されていないし、精神的な疲弊もありません」
小平の強さの核心を、前出・清水さんが説明する。
「専属の栄養士を付けていること。運動力学や道具のサポートをする結城匡啓コーチの存在が大きい。さらには、小平さんが解剖学を勉強していることです」
解剖学? はたしてどんな役に立つのか。
「筋肉のイメージが画像診断のように思いつくので、トレーナーに自ら筋肉の状態を説明し、指示することができる。本当の意味でのインナーマッスルにつながっています」(清水さん)
解剖学がもたらした見事な金メダルだった。
(本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2018年3月2日号