“リベンジ”に“倍返し”。「やられたら、やりかえせ!」と高ぶる気持ちに、ちょっと待ったをかける本が昨年から爆売れしている。『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版刊)だ。シンガポール在住の著者に「タイプ別アホへの対処法」を聞いてみた。
「パネルなどを置いて大展開してくださった書店さんを中心に、全国に広がりました。女性の読者も多い」
と書籍の担当編集女子。
著者の田村耕太郎さんは山一証券勤務などを経て2002年に参議院補選で当選。2期務めた後、現在はシンガポール国立大学兼任教授や経済シンクタンクのフェローを務めている。「3年も前の本なのに」と田村さんもベストセラー化にびっくり。一時帰国中のところ話を聞いた。
「“アホ”のインパクトでしょうか。だとすると相当にフラストレーションをため込んでいる人が多いということでしょうね」
政界にいた頃は足を引っ張り、いちゃもんをつけたがるアホたちに悩まされた。一度の人生こんなアホに煩わされるのは損と、愛読書の『孫子の兵法』をもとに敵兵(アホ)と戦わず、時間を有効に活用することを説いたのが本書だ。
論旨を一言でかいつまむと「アホと関わるのは時間の無駄。スルーしろ」「メンツよりも実利」となる。
スルーするのがいちばん。「アホ」への対処法に、うなずきつつも「しかし」と思う人も多いはずだ。アホは手ごわい。実践するとなると容易ではない。
「そうなんです。私もスルーできずに戦ってしまったがために何度も痛手を負ってきました。関わることで問題が解決に向かうどころか、ますますこじれてゆく。戦うことで大損する悔しい体験をしたからこそ、スルーすべきだと断言できるようになりました」
そこで、田村さんに顕著な「アホ」の類例と対処戦術をあげてもらった。
まずは、しつこく議論をふっかけてくる「ストーカー型のアホ」には「ごもっとも!」と褒め上げ、やはりスルーがいちばんという。