弟子の昇進会見で笑顔を見せた貴乃花親方。理事選でも笑顔が見られるか? (c)朝日新聞社
弟子の昇進会見で笑顔を見せた貴乃花親方。理事選でも笑顔が見られるか? (c)朝日新聞社
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「大勝負」に打って出た貴乃花親方の決断は、吉と出るか、凶と出るか。

【貴乃花親方が支援者に送った決意表明】

 2月1日、翌日に控えた日本相撲協会の理事選(定員10人)の前に、貴乃花一門から貴乃花親方と阿武松親方(元関脇・益荒雄)の2人が立候補した。仮に貴乃花親方1人の立候補ならば無投票で当選確実とみられていたが、あえて2人を立候補させたことで立候補者が11人となり、5期連続で親方たちによる投票にもつれ込んだ。

 はたして勝算はあるのか。貴乃花派のある親方はこう話す。

「ある程度、勝算はある。貴乃花一門の基礎票11票にプラスして、以外から8~10票、2人を当選させる票はなんとか確保できそうだ。あえて選挙にしたのは、たとえ1人が落ちてもそれは貴乃花親方の改革志向ゆえの行動と評価されるはずで、マイナスはないということ。また、貴乃花親方が、阿武松親方に票を集めて自分は1票でかまわないと言ったという報道がある。そんな提案があったのは事実だが、うちは全員が貴乃花親方を理事長にすべく必死に働いている。派閥内の対立などない」

 この親方は逆に、他の一門の結束こそが緩んでおり、ここを切り崩すことで勝利が見えてると言い、次のような「票読み」を披露した。

「たとえば時津風一門は、錣山親方(元関脇・寺尾)ら3人が離脱したので親方は16人。でも出馬は鏡山親方(元関脇・多賀竜)1人なので、残り6人は草刈り場になる。錣山親方が出てぐらついている一門だから、チャンスはある。高砂一門も親方12人で、候補は八角理事長(元横綱・北勝海)のみ。近年は元横綱の千代の富士の理事落選などもあり、一門はぐらついている。貴乃花親方の長男と娘が結婚した陣幕親方(元幕内・富士乃真)や、八角理事長と一線を画す九重親方(元大関・千代大海)など、こちらに来てくれそうな親方がけっこういます」

 一方、反貴乃花派の親方は、貴乃花派の多数派工作に悩まされていると言い、苦々しい様子でこう語る。

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