日本の会社が開発したスマートフォン向けゲームアプリ「旅かえる」が、中国でなぜか爆発的に流行している。中国のAppStore(iPhone向けのアプリストア)の無料ゲームアプリランキングで1位を獲得したのだ。可愛いイラストの蛙が勝手に旅へ出かけ、自宅に戻ってきたら、旅先の画像やお土産を持ってくるという放置型ゲーム。
ゲーム自体は、昨年11月下旬にGoogle Play(アンドロイドスマホ向けのアプリストア)、AppStoreで世界配信した。
今年に入り、なぜか突如、中国のSNS上で次々と「旅かえる」を楽しむ画像を投稿する中国人が続出。結果的に、開発元の日本より中国で知られるゲームアプリとなったのである。
実は、「旅かえる」は日本語仕様のみで、中国語対応はしていない。
それなのに、なぜ「旅かえる」に中国人ははまるのか。
同国ユーザーたちに聞くと、「子供の頃に動物を飼っていた感覚と似ている」「かえるが好き勝手に行動するのが面白い」「日本の観光地の画像が良い」「子供を育てる感じ」と本誌の取材に答えた。
中国のSNS上では、画面をキャプチャして中国語による説明書きを付け加えたものや、パロディ画像が次々と投稿され続けている。また、ヒットポイント自体は中国のマーケット向けにアンドロイド版「旅かえる」を配信してないはずなのに、既にいくつかのマーケットで出回っている。
ヒットポイントの担当者は、異例の大ヒットについて「今年に入ってから急激に中国のお客様からの問い合わせが増え、正直なところはじめは戸惑いましたが、スタッフ一同とても喜ばしく感じております」と答えた。
担当者によると、AppStore全体でのダウンロード数は1000万を達成し、地域別では中国が95%、日本が2%、米国が1%。圧倒的に中国のユーザーが多いのだ。なぜ中国で大ヒットしているのかは、現在調査中とするが、「かえるが『旅のしたく』をすればひとりで勝手に行動するのが、忙しい10代、20代の若年層を中心に評価されているのではないか」と分析する。今回の大反響もあってか、今後は、中国語や英語など各地域の言語への対応も検討している。
中国のスマホ向けゲーム市場は既に2兆円を超える規模と言われている。日本のゲームアプリ大手会社も巨大な市場を狙って、過去続々と進出しているが、激しい競争にさらされて撤退するところも多い。
そんな中、思いがけず中国で大ヒットした「旅かえる」。気まぐれな、かえるに、ユーザーだけでなく会社も翻弄されたようだ。(本誌・大塚淳史)
※週刊朝日オンライン限定記事