その一方、篠崎氏は2011年に福岡市博多で「はれのひ」を創業し、初代社長に就任した。その後、神奈川県横浜市に進出し、本店を移転。さらに東京、茨城などで多店舗展開をして正社員も40人ほど抱えた時期もあったという。前出の呉服店店主はこういう。
「篠崎さんは店をあちこちに出店してから羽振りがよくなり、ベンツを乗り回すようになった。バツイチだと言っていたが、2015年には20代の女性と再婚し、子どもも生まれた、とのろけていました。事業は大丈夫なのかと不安になりましたね」
店主が危惧した通り、栄華は続かず、人件費や賃料の負担が重なり、金融機関からの借り入れも難しくなるほどの状態になっていたという。東京商工リサーチによると、同社は昨年から取引債務や従業員給与の支払い遅延が相次いでいたという。2016年9月期時点でのはれのひの負債総額は6億1000万円、債務超過額は3億2000万円にも上る。
着物業界の関係者は、「昨年末に資金繰りに苦しんでいるという話は聞いていた。社員の給料も払っていないとなると、被害者が払った代金を回収するのはかなり難しいのではないか」と話す。
篠崎氏が使用していた携帯、メールなどに連絡してみたが、いずれも不通。篠崎氏の自宅も訪ねたが、何も応答はなかった。
このままでは成人式という晴れの日にお金と思い出を奪われた被害者たちが浮かばれない。篠崎氏は一刻も早く、公の場に出て、この騒動の真相を語るべきだ。(本誌 大塚淳史 小泉耕平)
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