姉妹社版の『サザエさん』単行本(撮影/写真部・小山幸佑)
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 何気ない日常に楽しみを見いだすセンスと、地に足のついた丁寧な暮らし。暮らしまわりのスタイリストの伊藤まさこさんは、サザエさんの漫画の世界観に引き寄せられた一人だ。新聞連載が終わって44年が過ぎようとしているが、なぜ今の時代でも響くのか。「サザエさんが大好き」という伊藤さんに、作品の魅力を読み解いてもらった。

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「大人のための漫画ですよね」

 伊藤まさこさんは、作品の特徴を簡潔に表現した。

 今ではアニメのイメージが強いサザエさんだが、原作は朝日新聞などに連載されていた4コマ漫画。今、改めて読んでみると、皮肉が利いていて、時事ネタも満載。大人こそ、楽しめる漫画だと気づく。

 伊藤さんと、サザエさんとの出会いは、幼稚園のころにテレビで見たアニメだが、小学生のときに原作である漫画に初めて触れた。

「母が『よりぬきサザエさん』を買ってきてくれたんです。絵が本当にかわいらしくて、幼いながらも、アニメより原作の持つ世界観に引き込まれました」

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