ハチ公と上野英三郎博士像飼い主である上野博士の死後、10年近く東京・渋谷駅に通って博士の帰りを待ち続けた忠犬・ハチ。ハチ公像といえば渋谷駅が有名だが、もっとも新しい像は2015年、博士が教鞭をとった東京帝国大学(現・東京大学)の農学部キャンパス内に建てられたもの。博士への愛情あふれるハチの眼差しが印象的/東京都文京区(撮影/青柳健二)
ハチ公と上野英三郎博士像
飼い主である上野博士の死後、10年近く東京・渋谷駅に通って博士の帰りを待ち続けた忠犬・ハチ。ハチ公像といえば渋谷駅が有名だが、もっとも新しい像は2015年、博士が教鞭をとった東京帝国大学(現・東京大学)の農学部キャンパス内に建てられたもの。博士への愛情あふれるハチの眼差しが印象的/東京都文京区(撮影/青柳健二)
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 犬像といえば東京・渋谷の「忠犬ハチ公」が思い浮かぶが、実は日本にはたくさんの犬像が存在する。ときに犬は人の友となり、家族となり、守り神にもなる。種を超えた絆で結ばれた、犬と人の物語──。

【フォトギャラリー】全国の犬像をめぐる冒険

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 写真家の青柳健二さんは全国の120体を超える犬の像を訪ね、『全国の犬像をめぐる』にまとめた。それぞれの像には、伝説や物語がある。

 自決を覚悟して山中をさまよっていた白虎隊士の酒井峰治。何かが横切ったと見ると、それは愛犬クマだった。酒井は生きる気力を取り戻して鶴ケ城に入城、生き残った。像には酒井の足にまとわりつくクマの姿が描かれている。

 1993年、少女が目の見えない子犬を拾ったが、住んでいた団地では犬が飼えない。「盲導犬は目が見えない人を助けるのに、目が見えない犬は捨てられるの?」。そんな言葉が周囲の人々を動かし、団地で飼うことに。ダンの像は、小学校の教室を見守るように建てられている。

「犬像からは、自然や動物に対する日本人の感じ方が見えてくる。これからも訪ね続けたい」(青柳さん)

 冒険はまだまだ終わらない。

(取材/青柳健二、構成/鮎川哲也、野村美絵)

週刊朝日 2018年1月5-12日合併号より抜粋