製造業の会社に勤めていた藤原隆さん(仮名・71歳)は65歳で退職後、暇を持て余して朝から酒を飲むようになった。もともと酒好きだったが、酒量は日ごとに増えていった。
「朝起きてもやることがないから、酒を飲むようになりました。朝酒はうまくてすぐに酔っ払える(笑)。最初は1合までと決めていたんだけど、だんだんと自制が利かなくなった。常にアルコールが入っている状態になって、1日に日本酒を1升も飲むようになっていきました」
見かねた妻に促され、アルコール依存症の専門病院を受診。その日から3カ月間入院した。以来、酒を断って6年が経過した。藤原さんは断酒が続けられている理由をこう語る。
「病院で知り合った人が、断酒会の集まりに顔を見せなくなった。どうしたんだろうと思っていると、また酒を飲み始めてしまい死んだと聞かされる。そんな人はもう何人もいます。そのショックが抑制になっているからだと思います」