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2011年のウィンター・ジャズ・フェストに登場し、ジンク・バーを満員に埋めたフランス出身のピアニスト、ジャッキー・テラソンと、そのトリオ
2011年のウィンター・ジャズ・フェストに登場し、ジンク・バーを満員に埋めたフランス出身のピアニスト、ジャッキー・テラソンと、そのトリオ

 90年代半ばに、ハウストン・ストリートにオープンした、こぢんまりとしたバー&ラウンジだったジンク・バーは、その魅力的なブッキングで、たちまち、Soho近辺のモデルや、デザイナーなどヒップな人々がハング・アウトするトレンド・スポットとなった。ピアノがなかったため、長年ギタリストを中心としたグループが、出演することが多かった。

 数年前、ジャズ・クラブ、ブルーノートと同じウェスト3rdストリートに移転。店も広くなり、念願のグランド・ピアノも入り、ラインナップもさらに充実した。

 通常は7時からのアーリー・セットから深夜まで、複数のアーティストが登場する。ヴィレッジのウィークエンド・ナイトを代表するライヴ、土、日のボサノヴァ&ブラジリアン・ジャズ・ナイトや、金曜のアフリカン・ジャズ、木曜のラテン・ミュージックなど、曜日ごとにジャンルが変わるのも、人気の秘密である。

 毎週月曜は、若くして非業の死を遂げたエレキ・ベースのイノヴェーター、ジャコ・パストリアスの遺児、フェッリックス・パストリアス(el-b)、レイト・セットには、ジンク・バーの顔とも言える中堅ギタリスト、ロン・アフィフも出演している。またシンガーをフィーチャーし、飛び入りも大歓迎のオープン・マイク、ジャム・セッション、はたまたスタンダップ・コメディと多彩なメニューを誇る。

 毎年1月の第一週の週末に開催されるAPAP(Association of Performing Arts Presenters)の年次総会に合わせて開催されるショウ・ケース、ウィンター・ジャズ・フェストのメイン会場の一つでもあり、フェスティヴァル期間中には、長蛇の列が立ち並ぶ。グリニッチ・ヴィレッジの伝統のボヘミアン気質を、現代に受け継ぐ、様々な民族と、音楽が溢れるニューヨークの縮図とも言える、ホットなヴェニューである。

■Zinc Bar(ジンク・バー)
2 West 3rd Street (Bt. Thompson & Sullivan Street)
New York, NY 10012
http://www.zincbar.com/
tel. 212-477-9462
6:00PM~2:30AM(~3:00AM、金、土)