インタビューを行った11月22日はベジャール没後10年の命日。3年ぶりのBBLの来日公演期間と重なっていた。日本文化に触発された作品も発表してきたベジャールが国内でもっともブームとなったのは80年代だが、会場には少なくない男性客も含めて熱心なファンが詰めかけていた。
バレエ団でベジャールと直接仕事をしたことのあるダンサーは現在4人しか残っていないが、
「それでも『ボレロ』などから、確実にベジャールのDNAが受け継がれていることを多くの観客が感じたようです」
と招請元の日本舞台芸術振興会。ダンスを通じて「人間」をとらえ続けたベジャールの精神は今も生き続ける。
アギーレ監督は言う。
「ベジャールの美徳は、日本人でもスペイン人でもだれもが彼の作品のことを同じ言語を話すように理解できること。ダンスは音楽と同じように普遍的な言語だと思う。彼はその特性を理解して、万人を結びつける作品を作った。だれもが彼の作品を見ると、踊っているダンサーに共感する。自己投影できる。彼は人類を結びつけるものとして作品を作った人だと思います」
(ライター・坂口さゆり)
※週刊朝日 2017年12月15日号
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