

漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、篠原涼子主演の「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」フジテレビ系 月曜21:00~)をウォッチした。
* * *
新米ママさん市会議員・佐藤智子(篠原涼子)が、素人目線で世の中の問題をぶった斬っていく……。威勢よく始まったこのドラマ。
篠原が「私、忖度苦手なんで」と、米倉涼子の「私、失敗しないので」をチラつかせるけど、むしろこのドラマ自体の忖度下手っぷりに戦慄しちゃうのである。
なんせ市政エンターテインメントと銘打ちながら、初回開始5分で高橋一生のシャワーシーンだ。一生が演じるのは「市政のプリンス」と言われるサラブレッド議員・藤堂。さわやかな外ヅラだが、隠れ家の貧しいアパートでデリヘル嬢・莉子(今田美桜)と戯れるという裏の顔を持つ。もうこの藤堂裏バージョン場面に、ことごとく制作側の忖度を感じるのだ。
「民衆の皆さんはこういうの好きなんでしょ」とばかりに、裸で後ろから抱きしめちゃう。手作りケーキの生クリームを指ですくって舐めちゃう。くしゃっとした笑顔で「おいしい!」って、ベタだから。藤堂がデリヘル嬢に、沢田教一のようなカメラマンになりたかったと夢を語るシーンは、もはや「彼氏とデートなう。に使っていいよ」のサービス映像にしか見えない。いろいろ忖度した結果、まったく視聴者の気持ちを忖度できていない。人はそれを「有り難迷惑」と言う。