「まるでイチョウの色づきがサインであるかのように、秋に入って精神面の不安定さが表面化する受験生は少なくありません」

 そう話すのは、受験生専門の心療内科である「本郷赤門前クリニック」の吉田たかよし院長だ。

 受験のストレスや不安感から起こる、意欲の落ち込みや不眠、疲労感といった「受験うつ」症状による心身の不調は、大学や中学受験に挑戦する受験生に多く見られ、秋から増え、1~2月にピークに達する。

 病気と診断がつかないまでも、「うつ気分」に陥る受験生は少なくない。

「子どものうつは大人と様子が違うことを知っていただきたいです。落ち込みや普段とは違う乱暴な態度を見せても、思春期の反抗期と見過ごされ、適切な治療や対処を受けられずに、最悪の事態を迎えることもあります」(吉田院長)

 どのようなきっかけで、「うつ」に襲われるのか。親が気をつけるタイミングや子どもが出すサインをあげてみよう。

 まず、プライドを傷つけられるなど、強いストレスが引き金であることは想像に難くない。たとえば、模擬テストの結果が悪く、落ち込んだときなどだ。ところが吉田院長によると、よい成績だったときも、注意が必要だという。

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