MitchBorden出演者の告知ボードを書く、スモールスの名物男、創立者のミッチ・ボーデン
MitchBorden
出演者の告知ボードを書く、スモールスの名物男、創立者のミッチ・ボーデン
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Spike Wilnerスモールスを大きく変貌させた、スパイク・ウィルナー(p)
Spike Wilner
スモールスを大きく変貌させた、スパイク・ウィルナー(p)
Jessi Davisこの夜のジェシー・デイヴィス(as)・クインテットの演奏も録音され、春にはアルバムがリリースされる
Jessi Davis
この夜のジェシー・デイヴィス(as)・クインテットの演奏も録音され、春にはアルバムがリリースされる

 ウェスト・ヴィレッジの7thアヴェニュー・サウス近辺には、現在も多くのジャズ・クラブが、ひしめいている。その中でも90年代にオープンしてから異彩を放っているのが、スモールズだ。1994年現在地で、ヒッピーでありながら元海軍の潜水艦乗組員という異色の経歴を持つミッチ・ボーデンによって、そのヒストリーは始まった。開店当初は、若手や深夜のジャム・セッションを中心にブッキングし、ピーター・バーンスタイン(g)、ロイ・ハーグローヴ(tp)、ブラッド・メルドー(p)、カート・ローゼンウィンケル(g)といった21世紀のジャズ・シーンの中枢をになっているプレイヤー達が、よく演奏していた。当時の活況を、ニューヨーク・タイムス紙は、ニューヨーク・カッティング・エッジ・ジャズ・クラブ(ニューヨーク・ジャズを象徴するクラブ)と、絶賛している。しかし2001年の9.11以降、減少する観光客や、家賃高騰の打撃を受け、2003年に惜しまれつつ、その歴史に一度幕を下ろした。

 その後、同地は普通のバーになったのだが、あまりに多くの客が「スモールスか?」と訪ねてくるので、オーナーは、ミッチ・ボーデンを呼び戻し、2005年にまたライヴを開始して、復活した。2007年にピアニストのスパイク・ウィルナーが共同経営に参画し、スモールスは新たな歴史の1ページを開く。2007年からすべてのライヴは、インターネットで、ストリーミング中継され(現在は年会費$20.00から聴ける)、音源はアーカイヴ化されて、ウェッブサイトでアクセスできようになった。また、同年インディレーベル“Smallslive”をも立ち上げ、スモールスでのライヴを、若手、中堅、ヴェテランと幅広く収録し、現在まで23タイトルをリリースしている。伝統的なジャズ・クラブの枠にとどまらない、インタラクティヴな発信で、ニューヨーク・ジャズ・シーンを刺激するヴェニューである。

■Smalls (スモールス)
183 West 10th Street (7th Avenue South)
New York, NY 10014
http://smallsjazzclub.com/
tel. 212.252-5091
Live は7:30PM ~ 12:30PMのレギュラー・セット
深夜のアフターアワーズがある。