夫:あ、今はもうそんなことないですよ!
――「やっぱり、役者だね」。死体から刑事へ“出世”。
妻:今でもギターの音がすると、ドア全部閉めるわよ。
夫:あんたも弾くでしょ。
妻:ジャンルが違うんだもの。私はクラシック。
夫:僕はフォークソング。そういえばギターに「ウルサイ!」って書かれたこともあったね。仕方がないから外で練習しようと思って橋の下へ行ったら、ホームレスからも「うるさい!」って(笑)。
妻:それどころか、勘違いされたんでしょ。
夫:知らないおばさんが数人寄ってきて、サインくださいとか言うのかなって思ったら、「良かったら食べて」って。すごく大きなポリ袋二つくれて。
妻:抱えて帰ってきたの。パンとビスケットがぎっしり入ってたね。
夫:カチカチになったパンにはカビが生えてて、ビスケットは粉々で。
妻:大笑いですよ。気の毒な人だと思われたんだって。
夫:その時この人がね、言ったんですよ。「やっぱりあんたは、役者だね」って。
妻:そんな感動的な言い方してないと思うけど。
夫:橋の下の雰囲気に同化しちゃってたんでしょ、ってね。こいつ、やっぱり面白いこと言うなあって思いましたよ。