人気俳優でありながら、映画監督やアートの分野でもマルチに活躍する田辺誠一さん。11月10日(金)から始まる主演舞台「誰か席に着いて」(東京・有楽町のシアタークリエなど全国9都市にて)では初めての座長に。作家・林真理子さんとの対談では舞台の魅力から若いときの夢などを語り合いました。
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林:座長さん、初めてですか。
田辺:初めてです。稽古場でも僕はおとなしくしてるから、ぜんぜん座長っぽくないですけど。
林:テレビのバラエティーにもあんまり出ませんよね。
田辺:番宣とかで多少出させてもらうぐらいですけど、しゃべりのプロじゃないから対応できないですよ。
林:私、いつも思うんですけど、このごろの俳優さんたち、バラエティーに出てもうまいですよね。
田辺:若い子は特にうまい。おもしろいし、センスあるし。僕らは台本がないと何も言えないですから。
林:今、東京は「世界一の演劇都市」と言われていて……。
田辺:あ、そうなんですか。
林:お芝居を見に行くと、ドサッとチラシをくれるじゃないですか。それを見ると、テレビや映画で活躍しているスターの人たちが、下北沢のこんな小劇場に出るのか、と思ってビックリしますけど、田辺さんもああいう小劇場って楽しいですか。
田辺:はい、楽しいです。
林:そんなにお金にもならなくても、時間を束縛されても?
田辺:はい。おもしろいことを考えている人が多いですし、映像だと制約も多いですけど、舞台はそれがあまりない。テレビでやると「不謹慎」と思われることも、舞台だと表現しやすいんじゃないですかね。小説はどうですか。制約はないですか。