第二は、3回実施された関係省庁ヒアリングの内容の違いである。14年8月の1回目は新潟市の提案を受けて開催されたが、議題は「獣医師養成系大学・学部の新設」で、門前払いを前提とするかのような通り一遍の質疑に終始した。翌年6月の2回目は、議題「国際水準の獣医学教育特区(今治市)」が示すように、今治提案が対象で、文科省は獣医学部一般を想定して返答したが、質疑は今治提案を通すべく執拗であった。昨年9月16日の3回目は、今治市提案の認定を前提にした質疑応答が中心。藤原豊内閣府地方創生推進事務局審議官から、翌週に「今治市分科会」(第1回)が開催されるので出席してほしいとの発言もあった。

 第三は、愛媛県・今治市と、京都府・京都産業大学の提案資料等の違いである。今治市の場合、1回目ヒアリングの審査資料は、A4判1枚の提案書とPPTスライド3枚の添付資料のみ。2回目もPPTスライド1枚でしかない。これに対し、京都府・京産大の資料はA4判21枚。獣医学部新設4条件を満たす内容で、質疑でも「全面的に賛同」「非常に説得的なお話」と高く評価された。

 第四として、次の2点も見落とせない。

 一つは昨年9月16日の3回目のヒアリングでの藤原審議官の冒頭発言である。

「WGをスタートさせていただきます。文科省、農水省にお越しいただきまして、獣医学部の新設の問題ということでございます。学部、大学を問わず、これは去年の成長戦略の中で(中略)政府決定をしておりまして、当時、本年度中に検討ということなので少し時期をもう越えておるのですが、関係省庁とともに政府として宿題を負った形になっているというのがポイントでございます。(略)総理からもそういった提案課題について検討を深めようというお話もいただいております」

 もう一つは、同年9月9日開催の第23回諮問会議で「獣医学部の新設」が「残された岩盤規制改革」の典型例として「加速的・集中的に」進めることが確認されていたことである。

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