八田、竹中両氏の言動は、有識者議員として「失格」と言われても致し方ないものであろう。
安倍首相についても類似の問題がある。閉会中審査で〈今治市提案の獣医学部新設主体が加計学園であることを知ったのはいつか〉と問われ、今年1月20日だと答弁したが、5月の参院予算委員会や6月の決算委員会での返答と違っていた。それを指摘されると、「知り得る立場にあったが、具体的な説明はなかったので知らなかった」という趣旨の答弁を繰り返した。
閉会中審査では、国会の内外で混乱と応酬を招いた「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」文書、「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」文書、「10/21萩生田(光一)副長官ご発言概要」文書についても、萩生田氏や和泉洋人首相補佐官などが答弁しているが、「一点の曇りもない」とはとても言えない。
森友・加計疑惑については、先の総選挙で自民党が圧勝した結果、真相究明・疑惑解消の見通しは暗く、誰も責任を取ることなく済まされてしまいかねない。
とくに加計疑惑には、議員や行政官、有識者議員の公務上の行為によるアンフェアで歪んだ特区行政・大学設置認可行政が絡んでいる。隠蔽・偽装や虚偽発言は法令を含む倫理基準にも反する。それにもかかわらず、当事者の解任や辞職・辞任も謝罪もなく、その他の制裁対象にもならないとしたら、政治不信・行政不信とモラル破壊を助長しかねない。関係者の誠実かつ適切な対応を期待したい。
※週刊朝日 2017年11月17日号