「僕以外に笑顔を見せるな」と鍵かけ、朝を部屋に閉じ込めて出かける守綱。妻が好きすぎてもはや猟奇、でも真顔ってな守綱役の山本は、朝ドラでニッコリ出てくるイケメンたちよりずっとインパクト大だ。

 かたや朝、それならベランダ飛び越えて隣の部屋に行っちゃうわって、お嬢だけどやたら大胆。せっかちなプロポーズ、会ったばかりなのにそれを承諾する度胸。芸術への深い愛情と自由な心。初めて食べた本格インドカレーへの好奇心と食いしん坊っぷり。こりゃ生まれます。絶対後に徹子生まれますと、確信できるエピソードばかり。

 それにしてもワンクール3カ月で終わるせいか、超ハイスピード展開だ。徹子が生まれたと思ったら、翌日もう6歳。すでにパンダのぬいぐるみに「シナシナ」と名前をつけて深い愛情を注ぎ、おかっぱ頭の陰にアメ玉を仕込むというナチュラルボーン徹子状態。

 ああ徹子だ、これも徹子だといちいちうなずくわけで。日本人はどれだけ徹子を見続け、徹子豆知識を刷り込まれていることか。それを再確認できるドラマだ。

週刊朝日 2017年10月27日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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