放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「漫画の実写映画化」をテーマに送る。
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北野武監督の「アウトレイジ 最終章」を見た。仕事の都合で京都の劇場で、昼に見たのだが、高齢の方まで結構お客さんがいて、終わった後、70歳くらいの老夫婦が劇場を出てきて、奥様が「たけし、うまいこと作るね」と言っていた。
シリーズは全て見ているが、とてもおもしろかった。僕個人としては、映画全体に漂う緊張感と、物語で自分がどこに連れていかれるかわからない緊張感が混ざり合い、終着点まで着いた感じだった。やはり、これはオリジナルだからこそ。
僕も今年、初めて映画を監督し、来年公開になるが、オリジナルで作らせてもらった。プロデューサーから、この時代、オリジナル作品を作るということがどれだけ難しく大変かと説明を受けた。これがヒットすれば、またオリジナルで撮影するチャンスもあるのかもしれないが、さほどヒットしなければ多分オリジナルで作るチャンスはないだろう。
漫画原作を映画にすることに関してとやかく言うこと自体がナンセンスだとわかっているが、だけど、最近、本当にあまりにも多すぎないかな? それってどのくらいファンが望んでいるのか?
例えば、原作がすでに終わりを迎えたものとかは、その物語が色々な形で残り続けるのだからまだいいと思う。
問題なのは、現在連載中のヒット作だ。僕は漫画が大好きで、家にも千冊以上は持っている。話題になっている作品はもちろんだが、僕は漫画の1巻だけ買うのが好きだ。なるべくKindleではなく、本屋さんに行き、うろうろ回って、その本の表紙の感じとかで買うかどうか決める。1巻だけを10冊ほど買ってきて、2巻に進むかどうかを決めている。