レニー・ホワイト(ds)
レニー・ホワイト(ds)
この記事の写真をすべて見る
ヴェテラン・ドラマー、レニー・ホワイトが、マイルス・デイヴィス(tp)の問題作“ビッチェス・ブリュー”へのオマージュを捧げた。マイルス役には、その晩年の愛弟子、ウォレス・ルーニーが務める。 ウォレス・ルーニー(tp)
ヴェテラン・ドラマー、レニー・ホワイトが、マイルス・デイヴィス(tp)の問題作“ビッチェス・ブリュー”へのオマージュを捧げた。マイルス役には、その晩年の愛弟子、ウォレス・ルーニーが務める。 ウォレス・ルーニー(tp)

 かつて若き日のジョン・コルトレーン(ts,ss)や、60年代から70年代にかけてマイルス・デイヴィス(tp)も住んでいた閑静な住宅街アッパー・ウェストサイド。彼の地に、80年代から90年代の初めにかけて、ピーター・バーンスタイン(g)や、ジェッシ・デイヴィス(as)、大西順子(p)らがセッションを繰り広げていたバー、"オーギーズ"があった。多くのミュージシャンが集い、ダウンタウンのスモールスと並んで、現代のジャズ・シーンを担う当時の若手たちの拠点となっていた。リカー・ライセンス(酒類販売免許証)のトラブルで、オーギーズは98年にクローズしてしまったが、オーギーズのスタッフが同地に99年4月に再興したのが、"スモーク"だ。

 常連客の作家ポール・オースターの「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を映画化したタイトル「スモーク」にちなんで、命名された。

 オーギーズ時代のブッキングは踏襲され、毎週月曜日は、ジョン・ファーンズワース(ds)や、エリック・アレキサンダー(ts)らを中心としたジャム・セッション、ニューヨークのクラブでは珍しくハモンドB3オルガンも、店に常設されているので、火曜日のマイク・ルドーン(p,org)がレギュラーで、ウィーク・デイは若手、中堅中心、週末は、ジョージ・コールマン(ts)ら、大ヴェテランが出演することもある。深夜の2セットも、若手やシンガーをフィーチャーしている。ディナーのテイスト、生ビールのセレクションも定評がある。スモールスと並んで、ニューヨークで一晩で、最もセット数が多いクラブであり、脈々と受け継がれている、ニューヨーク・ジャズの現在を体感できる、貴重なヴェニューである。

 さて2011年から、現在のニューヨーク・ジャズ・シーンを彩る、ジャズ・スポットを、有名店から気軽に愉しめるバーまで、26回に渡ってお伝えさせていただきました。まだまだニューヨークには、素晴らしいヴェニュー、イヴェントがたくさんあるのですが、ひとまず連載を終了させていただきます。またどこかで、この続きをご一読いただければ幸いです。長い間、ありがとうございました。

*Smoke(スモーク)
http://www.smokejazz.com/
2751 Broadway (Bt. 105 & 106 Street) New York, NY 10025
tel. 212.864-6662
5:00PM~3:00AM (月~土,ディナーは6時から)、11:00AM~3:00AM (日)。ライヴは7:00PM,9:00PM,10:30PMの3セットと11:30PM,12:45PMのレイト・ナイト・セット。日曜は11:00AM~3:30PMにジャズ・ブランチ。