一方、解散という安倍晋三首相の“禁じ手”が完全に裏目に出ている自民党。
「50議席以上減かも」(自民党議員)というのが、現状の相場だ。
政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう言う。
「希望の党が150議席以上取れば、自民党単独過半数割れとなり、安倍首相の3選は完全になくなる。そうなれば、政局になるので、安倍さんは退陣というシナリオもある」
首都圏選出の「魔の2回生」衆院議員は本誌にこうこぼした。
「正直、こんなタイミングの解散は全くの予想外。後援会や公明の名簿も半分も回せていない。厳しい」
そんな恨み節に押されるように安倍首相は解散当日(28日夕方)、意表をついて渋谷駅前で雨の中、街頭演説に立った。
「都議選の最終日に市民団体の挑発に逆切れした秋葉原演説の二の舞いを避けるために直前まで極秘扱いだった」(官邸関係者)
自民選対幹部は含み笑いでこう話した。
「公明党の山口那津男代表と並んで東京で街頭に立った意味合いはわかるでしょ? 頼みの綱は公明。小池(百合子)さんの名前を一切、出さなかったことにも、ある種のサインが込められている」
解散直前、安倍首相と会食した政策ブレーンはそのサインをこう解説する。
「安倍さんは1年前、小池さんの要望に応じて官邸で1時間以上も会談し、“改憲勢力”として密約のような契りを交わしている。状況は大きく変わったけど、安倍さんは『今でも何となく小池さんとはつながっているんだけどなあ~』とぼやいていました」
一方で、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は9月17日に投開票された大阪府摂津市議選の結果に言及。小池系「市民ファーストの会」候補4人が出馬したが、いずれも惨敗した。
「3候補に至っては3桁(100票)にも届かない大惨敗。小池ブランドは東京限定でしか通用しないことを証明した」(角谷氏)
自民党の塩谷立選対委員長は摂津の失敗例を盛んに引き合いに出し、「しょせんそんなもんでしょ。小池さんも十分わかっているはず」と周辺に余裕を見せるものの、「与党で過半数」という予防線を張るのも忘れてはいない。
小泉進次郎氏や菅義偉官房長官は相次いで「小池さんは出てくるのではないか」と発言した。