放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「信頼できる医者」をテーマに送る。

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 病院。正直、セカンドオピニオンを受けに行くのって気まずかったりもするし、医者に言いにくかったりもしますよね。うちの妻が妊活のために休業すると言って、最初にやったのは子宮筋腫の治療。妻はいくつかの病院に行きました。「子宮筋腫を切ったほうがいい」「切らないほうがいい」という反対の意見が出て最終的に妻が選んだ病院の理由は先生との相性。子宮筋腫の状態を見るときに、モニターに映し出された自分の子宮筋腫を見て「うわ、でけー」と言った妻に対して「モニターに映ってるんだから大きいに決まってるだろ」と厳しく言ったのだという。それを言ってくれたことで妻は、信用できる人だなと思ったらしい。僕はこのとき、妻に感心しました。自らいくつも病院を回ったパワーはすごいなと。

 で、僕は8月に人間ドックを受けたのですが、初めて精密検査になりまして。肺に「スリガラス陰影」と書いてある。ネットで調べてみると、結構怖いことも書いてある。ドキドキしながら精密検査に。いざ行ってみると、精密検査と言いながらも先生に詳しく話を聞くのがメインでした。僕は32歳までタバコをかなり吸っていました。最低100本。そして現在45歳。タバコはやめましたが、週に2回、お酒を飲んだときにシガー(葉巻)を吸っています。かなり厳しい先生でした。過去に吸っていたタバコのことと、現在吸っているシガーのこともかなり厳しく。このままいくとどんな状況になるかも、かなり暗い未来の話をされまして。先生からしたら、このくらい厳しくしないと治さないだろう!と思って、厳しく言っているんだと思います。現に、そこまで厳しく言われたからこそ、シガーもやめて、生活習慣を見直そうと思いました。診察を終えて思ったことは、他の先生の意見も聞いてみたいということです。他の先生に優しい言葉を言ってほしい訳じゃなく。多分、他の先生の言葉と説明を通したら、もうちょっと自分の状況も別の角度から理解できるんじゃないかと思ったからです。ただ、その病院で人間ドックを受けているので、CTのデータなどはそこの病院が持っています。他の病院の先生の意見を聞きたいけど、果たして、その病院で、CTやMRIの診察データなどをもらえるのかどうかもわからない。正直、聞きにくいですよね。それを聞くってことは「あれ? 他の病院にも行くの?」的空気になったらどうしようと。だけど、お医者さんだって人間です。ミスだって起こします。だとしたら、他の病院の先生の意見を本人が聞くことに対して、もっとウェルカムな空気を出してもらえないか?と思うのです。例えば、「人間ドックのデータを他の病院に持っていかれたい方はお気軽にお申しつけください」とわかりやすく書いてあるとか。目立つところに書いてなきゃ意味ないですよ。セカンド・サードオピニオンを病院と先生が推奨してくれる空気を出してもらったほうが、逆にその病院に対して信用できるなと思うのですが。どうでしょうねぇ。

週刊朝日 2017年10月6日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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