役員・幹部も大きく入れ替わり、「外様」が過去のしがらみにとらわれないで変革を進める。BMWからの転職者、鉄鋼メーカー元社長、米アップルの元自動運転開発担当者らが中心にいるという。
こうしたドイツ勢に対し、日本勢の動きは鈍い。トヨタとホンダは19年ごろに、EVをやっと市場投入する計画だ。EVはまだ「ニッチ」の位置づけだ。世界ではガラパゴス化している、ハイブリッド技術に傾注。過去の成功体験に安住し、現実の変化から目をそらすかのようだ。トヨタの戦略の劣化が特に著しく、自動車のコモディティー化を極度に恐れている。
日本勢で気を吐くのが日産。西川廣人社長は9月6日の新型EV「リーフ」の発表会で、「初代はEVを量産することに意義があったが、今回はもはや特別なクルマではない」と発言。EVを強調するのではなく、乗り心地などを消費者に訴える方針を示した。航続距離も従来の280キロから400キロに延ばし、性能を向上させた。
クルマのコモディティー化によって産業構造が変化すると、他業種からの参入が増える。そうなっても、悲観するのでなく現実を受け入れ、信頼性やサービス面で勝つ努力をするほうが大切、との考えからだろう。
日産はNECとのバッテリーの合弁会社を中国系ファンドに売却すると発表した。これも、電池はコモディティー化して差別化要因ではなくなる、との判断からだ。
※週刊朝日 2017年9月29日号