▼PNL(経皮的腎砕石術)


 背中に直径約1センチの孔を開けて硬性鏡を入れ、腎臓に到達。超音波などで石を砕き、バスケット鉗子でつまみ出す。石の大きさや硬さを問わずおこなうことができる。他の方法に比べてからだへの負担は大きい。入院期間は約2週間。

 近年、二つの方法を組み合わせて、より患者の状態や要望に沿った完治治療がおこなえるようになってきた。

 石が腎臓の中で結晶のように大きく固まったものが、「サンゴ状結石」だ。サンゴ状結石があると尿の流れが悪くなり、腎臓が腫れて「水腎症」を起こしてしまう。30ミリ以上という石もめずらしくなく、PNLをおこなうことになる。

 しかし、PNLは硬性鏡を用いるので、内視鏡が届かない場所が生じる。そのため2回、3回とPNLを繰り返したり、一度に2本内視鏡を入れるなど、からだへの負担が大きくなることが多かった。最近、このデメリットを補うために、PNLとf-TULを組み合わせたミックス手術が実施されるようになってきた。

 順天堂大学順天堂医院泌尿器科の磯谷周治医師は次のように話す。

「石を残すと、また大きくなって、水腎症を再発させるリスクが高くなります。負担が小さく、石を残すことの少ないミックス手術は有効だと考えられます」

 二つの手術を同時におこなうため、他の手術に比べて医師の数も多く、手術時間は約2時間になる。また、手術の合併症として、腎臓からの出血や感染による発熱などが起こり得る。合併症を抑え、排石率を上げるために、術前にはCTの3D画像などを用いて綿密にプランニングする。

 ミックス手術は腎臓のほかに尿管にも結石があるケースにも適している。

 磯谷医師が2年前に診た50歳の男性は、右の腎臓に約30ミリのサンゴ状結石と尿管にも数カ所、石があった。通常なら2回以上の手術が必要になるが、一度のミックス手術で入院は12日間、合併症もなく、すべて排石することができたという。

「石の性質や場所によっては、ミックス手術でも2回手術が必要なむずかしいケースもあります。しかし医療機器も技術も進歩しています。今後は排石率がさらに向上し、一度の手術ですむケースが増えてくるでしょう」(磯谷医師)

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