「JKビジネスに足を踏み入れる理由は、『遊ぶ金欲しさ』だけではない。虐待や貧困など家庭の問題を抱える少女もたくさんいる現状を、まず分かって欲しい」(仁藤さん)

 JKビジネスに巻き込まれた女の子たちを、「悪い子」と色分けして突き放すやり方では、罪悪感を植え付けて孤立に追いやるだけだと感じている。

「被害に遭った少女たちへのケアも不十分。開設サイトのトップページから数回クリックしてやっと、匿名で相談できる連絡先があるのを見つけた」

 業者のやり方は年々巧妙になっている。言葉巧みに誘い込む手口も紹介しなければ被害は防げない、と仁藤さんは言う。
「いまは監視をすり抜けるため、店舗の女の子を使い、ラインやSNSで求人募集する。相談に乗り愚痴を聞く女子大生などの『お姉さん役』も配置して、店につなぎとめようとする。『警視庁に届け出を出している優良店』などと、うその内容をアピールしている事例も多い」

 ニコルさんが悪いわけではないが、啓発チラシで解決できる問題ではなさそうだ。

 背景には「JK」を性的価値があるブランドとして商品化する社会がある。「ヤバイ」のは女子高生ではなく、それにお金を払う大人の方なのだ。(本誌・永井貴子)

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