モデルの藤田ニコルさん(19)がおびえるような表情でこう訴えている。
「ほんっとに、ヤバイよ。そのバイト。藤田ニコルは許さない!」
制服姿の女子高生らによる接客を売りにする「JKビジネス」の被害を防ごうと、東京都の条例が7月から施行された。警視庁によるとJKビジネスの店は5月末時点で都内に約140あった。「裏オプション」と称して性的サービスを提供するところもある。摘発逃れのため、看板を出さない店も少なくない。
都は危険性を訴えようと、6月に専用のウェブサイトを開設。啓発チラシには若い世代に人気のあるニコルさんを起用した。チラシは2種類あり、「JKビジネスはハマると危険なコワイ沼」などとしている。
都の青少年・治安対策本部の担当者は、
「女子高生に影響力の大きいニコルさんに登場してもらうことで、抑止力になればと期待している」
と意気込む。
だが、そんな「大人たち」の思惑に疑問を示すような書き込みが、都のウェブサイトにあった。
<お金に困ってやってる子がいるのを把握してるなら、そういうときどうしたらいいか教えるべき。ただストップという東京都。無責任すぎる>
書き込んだのは、家庭や学校に居場所のない少女たちを支援する女子高生サポートセンター「Colabo」代表で、『難民高校生』などの著書がある仁藤夢乃(27)さん。都青少年問題協議会の委員も務め、実態を調べてきた。