「牛乳パン」(撮影/写真部・片山菜緒子)
「牛乳パン」(撮影/写真部・片山菜緒子)
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 1874年、東京・銀座の木村屋が、ホップの代わりに酒種酵母を用いた柔らかい生地にあんを入れ、世界に類のない画期的なパンを発明した。以来、独創的なパン作りに挑戦する職人が後を絶たない。全国各地で人々に愛される名物パンを紹介する!まずは東日本編。

【東日本の名物パン 写真はこちらから】

北海道 ビタミンカステーラ
大正10(1921)年頃に、安くて栄養価の高い食品として開発した「棒カステラ」。戦後の食糧難の時代に、ビタミンB1・B2を小麦粉に加えるようになった。昭和30年代には、農繁期の農家のおやつとして大ヒットした。パッケージは60年間変わっていないという。97円
【高橋製菓】旭川市4条通13−左1号

■山形県 ベタチョコ
誕生したのは昭和39(1964)年。当時はまだ高価だったチョコレートをたくさん塗ったら喜んでもらえるのではと考え、コッペパンを開いて表面積を広げバタークリームをサンドし、チョコをたっぷりと。130円。高級チョコレートを塗ったプレミアムベタチョコ300円もある。【たいようパン】高畠町深沼2859−6

■福島県 喜多方ラーメンバーガー
取材依頼をしたところ、担当者の第一声は、「うちのは、パンじゃないんですけどいいんですか?」。実は喜多方ラーメンの麺を揚げて、バンズの代わりに使用したバーガーなのだ。具材もチャーシュー、メンマにナルト、ソースはラーメンスープという徹底ぶり。350円
【喜多方市ふるさと振興】喜多方市松山町鳥見山三町歩5598‐1

■茨城県 究極のメロンパン
和菓子、洋菓子、パンの3店舗を展開する鹿島製菓。そのパン工房の一番人気。水の代わりに茨城産メロンの果汁と果肉でこねた贅沢な生地で、生カスタードクリームをサンドしてある。194円。カシマスタジアムでも販売され(200円)、1日1705個の売り上げ実績!
【パン工房ファリーナ】神栖市知手中央3−4−8

■群馬県 たまご生
創業以来60年余にわたって愛され続けている「たまごパン」。小麦粉、卵、砂糖だけで作った深みのある生地が人気。そのシンプルなパンに生クリームをはさんでみたら、店近くにあった女子高(現在は移転)で人気沸騰。あっという間に県下に広まっていった。210円
【アジアパン】前橋市岩神町2−4−26

■東京都 もんころバーガー
バーガーのパテは、なんともんじゃ焼き! 「もんじゃ焼きをテイクアウトできるようにしたい」と願った北村志げ子オーナーが、12年前に完成させた浅草名物。450円【浅草もんじゃころっけ】台東区浅草1‐22‐4/営業時間11:00~18:00(なくなり次第終了)/定休日:水

■長野県 牛乳パン
昭和30年代初め、県下のいくつものパン屋が、大ぶりのパン生地にバタークリームを挟んだ商品を販売し始めた。なぜ一斉に世に出たのかは、今となっては謎だ。現在は20店舗
ほどが製造販売中。その中で、小松パン店の牛乳パンは圧倒的なボリュームで、人気を集めている。302円【小松パン店】松本市大手4 − 9 −13

■富山県 ヒスイパン
昭和30(1955)年頃、和菓子製造もしていた工場で、たまたま緑色の羊羹が余ってしまった。そこで、焦げ目がついてしまって売れないアンパンの表面に塗ってみたところ……。地元のヒスイ海岸にちなんでヒスイパンと命名したのは、それから30年ほど経ってから。140円【清水製パン】朝日町金山406

■静岡県 のっぽ(通称・のっぽパン)
長さ34センチメートルもあるクリームパンが誕生したのは、昭和53(1978)年。当時の社長と商品開発担当者が、地方で長いコッペパンを発見したことがきっかけ。バリエーション豊富なうえ、味の入れ替えも頻繁に行われ、これまで40種も登場した。キリンの絵のパッケージも好評。160円【バンデロール】沼津市西島町20−2

■愛知県 ウエハウスパン
自家製バタークリームを塗った柔らかいパンを、ピンクとグリーンのウエハースで挟んだ。外はパリッ、中はフワッとした食感の違いが楽しめる。ウエハースが出回りだしたことを受け、菓子とパンを合体させた製品として開発、昭和32(1957)年頃に発売を開始した。110円【八楽製パン】新城市杉山柴先17−1

週刊朝日  2017年6月9日号より抜粋