過酷な労働現場、保育士の叫び(週刊朝日 2017年6月2日号より)
過酷な労働現場、保育士の叫び(週刊朝日 2017年6月2日号より)
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 おかずがスプーン1杯の給食や、冷暖房の利かない部屋など劣悪な環境が問題となった、兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」。園児への対応だけでなく、保育士の働く環境も“ブラック”だった。

 園は、市に提出した雇用契約書とは別に、遅刻や欠勤をしたら罰金や懲罰を科すなどの契約書を一部の保育士と交わしていた。「当日欠勤は3日間の常勤ボランティア勤務」といった懲罰的な条件。姫路労働基準監督署は、保育士らへの未払い残業代が百数十万円にのぼると指摘した。

 ただ、「これほどひどくないにしても、現場ではよくあること」と保育業界の関係者は打ち明ける。

 他園での勤務経験がほとんどない若い保育士は、過酷な状況も普通と思ってしまう。疑問を感じても口をつぐんでしまうのが実情だ。全国福祉保育労働組合のアンケートでは、保育士の悲痛な声が届いている。保育に高い志を持つ保育士も、ぎりぎりの状況に追い込まれて働いている。

 特に、急激に施設を増やしている園は要注意だと言われている。「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんもこう話す。

「保育士が足りず、事務職員に資格を取得させて現場に異動させる大手保育園もあるようです。保育士になる気のなかった人がわが子と接しているのは、保護者として不安な思いです」

 記者の子が2年半通った大手の認証保育園は、保育士が次々に離職した。「他園へ応援に出向いている」として、担任が不在となることもたびたび。「親の介護で休職中」と説明されたはずの保育士の写真が、担任として玄関先に1年間も掲示されるなど、首をかしげたくなる対応が目立った。

 全国保育団体連絡会の実方伸子さんは「複数の県で園を展開する施設で、職員の二重登録が問題になりました。監査は自治体ごとの縦割りのため、発覚しづらいのです」という。

 小学校受験に定評のある東京都目黒区の私立保育園「駒沢の森こども園」などを経営する、角川キッズラボ代表取締役の角川慶子さんはこう話す。

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