この展開に、自民党都連は自信を取り戻しているという。都連幹部がこう語る。
「うちに追い風が吹き始めた。大型連休前に独自調査をした結果、自民党は50議席台前半と出た。予想以上に多かったので、現場には引き締めのため非公表にしているくらいです」
この幹部が自信を深める根拠の一つに、都ファと公明との連携がそれほど機能しないという情報があるという。
「創価学会の組織票がある公明と違い、都ファには『A候補は公明に』『B候補はうちに』と票を振り分けられる後援会組織がない。公明としては票を与える一方となってバーターが成立せず、疑心暗鬼になっていると聞く。小池氏は慌てて大型連休中に公明の重点選挙区を応援演説に回ってフォローしていましたが、連携は今後、ギクシャクするのでは」(前出の都連幹部)
ただ、ここに来て「安倍首相の改憲発言の影響で自民・公明が急に失速し始め、民進・共産が急伸している」(都政関係者)との情報も。風向きが日々変わる中、結末の読めない展開となってきた。
小池氏が開いた「希望の塾」で講師を務めた松田氏は、都議選でも都ファのアドバイザーを務める。都議選の結果については、自民党は30議席ほどと現有からほぼ半減と予測。都ファは60議席を超す勢いで圧勝し、公明党との合計で過半数を確保するのはもちろん、第1党になるのも確実とみる。松田氏が語る。
「今回の都議選は地方議会の選挙としては過去にないほど注目度が高く、テレビでもさかんに報道されるはず。投票率は民進党による政権交代直前で風が吹いていた09年の都議選をも上回る可能性がある。無党派層が投票に行けば行くほど都ファに有利となり、組織票が中心の自民は苦戦することになります」
また、やはり組織票が中心となる共産党は、投票率が上がると不利となるため今回は微減。選挙前に現職の半数が離脱してしまった民進党は1~2議席の確保がやっとで、ほとんど“壊滅”するという。
「空中戦」を得意とする小池氏の力で投票率をどこまで上げられるかが、都ファの勝利のカギとなりそうだ。(本誌・小泉耕平、上田耕司、村上新太郎、西岡千史)
※ 週刊朝日 2017年5月26日号